サノバウィッチ 感想
お久しぶりです。秋桜です。
気が付いたら9月が終わろうとしています。時が経つのは早いものだ。
1ヶ月で1記事みたいな目標を密かに立てていたわけですが、やはり人間、難しい目標は設定するものではないですね。
では本題へ。
ネタバレなし感想
まずはサノバウィッチというゲームについて。
いつ見てもすごい格好してるな寧々
ゆずソフト様の第8作目。
ジャンルは《お悩み解決!魔女っ子ADV》
キャッチコピーは《彼女の発情、共有中》
発売日は2015年2月(5年前????)
あらすじは省略。
http://www.yuzu-soft.com/new/product/sothewitch/story.html
こちらから確認できます。
で、アピールポイント。
曲が良い!!!
プレイ中にもう手が勝手にサントラをポチってたくらいには素晴らしいです。
『2人の魔法』と『Without You』が特に好き。
この記事に来るということは既にプレイ又は購入済み、もしくは購入を迷っている方だとは思いますが、迷っている方には購入を強くお勧めします。絶対に損はしません。
流れるタイミングはプレイしてからのお楽しみということで。
曲名表示はONがオススメ。
シナリオが良い!!!
天下のゆずソフトなので萌え・癒しの要素は言うまでもなく素晴らしいです。それに加え、この作品は各所で笑えたり泣けたり。
「共通のために買った」なんて話も聞くほどには面白いシナリオです。もちろん個別も。
とにかくバランスが良いです。
緩急の付け方、伏線の入れ方、回収。全てがちょうど良いので読後感も良い。
その上考察の余地まで残してくれてるんだからもう言うことはない。
プレイ順オススメ
①椎葉紬⇒②仮屋和奏⇒③戸隠憧子⇒④因幡めぐる⇒⑤綾地寧々
ポイントは2つ。
- 寧々は最後に
- 紬とめぐるの間隔を空ける
1に関して。
メインヒロインということでシナリオ量も多く、他のキャラもたくさん関わってきます。なので、他の√を全て見たあとの方が更に楽しめるかなと。
2に関して。
理由を伝えるとほんのりとネタバレになってしまうので伏せますが、やればわかると思います。既プレイの方はなんとなく察しがつくのではないでしょうか。
和奏は誰か1人を攻略したあとでないと進めないので2番目に置いてあります。
長々と書きましたが、「この√を先にクリアしないと内容がわからない!」みたいなものはありません。なので、自分の好みに合わせてプレイするのが1番だと思います。
迷ったときに参考程度にしてもらえたら良いかなと。
ネタバレなしの感想はここらへんで。
未プレイの方はまた来てね。プレイ後、是非語り合いましょう。
ネタバレあり
⓪共通
個別だけ書く予定でしたが、このゲームの共通はあまりにも出来が良かったのでねじ込みました。
ノベルゲームの共通√は基本的に
- 世界観の説明
- 各キャラの紹介及び分岐
- 後の個別√の伏線を張る
という役割を担っており、一言で言うなら、舞台を整えるためのものです。
そのため、個別√よりも深い話は出来ない上に、説明パートが長くなるということから比較的退屈に感じてしまう場合があります。
「個別がとてつもなく面白いのに共通でダレてしまって、完結させるのに時間がかかった」という経験がある人は少なくないのではないでしょうか。
しかしこのゲームは違いました。
上の方でも書きましたが、共通でもう既に面白い。
その理由はやはり綾地寧々です。
ほぼ初対面でとんでもないことをしてのける寧々さん。「一体何者なんだ?」という謎を説明するのと同時に、この物語の目標・世界観・キャラの紹介も済ませます。流れが美しすぎる。
また、この後も要所要所でとんでもないことが起こるので中弛みもありません。キャラが追加されていく行程もごくごく自然に行われます。
人が退屈だと感じるのは感情が揺れないときだと私は考えています。それをこんな手段で解決するんだからすげえよ綾地寧々。「もうやだお家帰る」
可愛い。
川上くんのデートプランを試す際、映画を観るために席を取る柊史は、寧々に気を遣って真ん中ではなく通路に近い方を取ります*1
かっこいい……(トゥンク)
こういう細かな気遣いができる男に憧れる。
柊史がかっこいいシーンは他にも色々と出てきます。
私のイチ推しは紬√分岐確定直後のシーン。コスプレをさせてあげて、なおかつその紬に投票するというもの。あれされて惚れないやついないだろ。
主人公が魅力的というのはとても大事。
プレイヤーの分身とも言えるキャラですからね。
あっ。
ダークサイド寧々にハズレなし。
紬(´;ω;`)
学校を転々とする中、ようやく仲良くできそうな人を見つけられたと思ったら、その人は同じ魔女でした。とか絶望以外の何物でもないですよね。
居場所を見つけられて本当に良かった。
尊死。意識も飛んでった。
寧々√の方で言及しようと思ったのですが、あっちはあっちで長くなっちゃったので「じゃあ共通の出来事だしこっちで良いか」となりました。この場面をカットはできねぇ。
①戸隠 憧子(cv.明科まなさ)
(cv敬称略)
感想はプレイ順に。
個別√に入ったら、そのキャラを表すタロットが表示されるという演出が追加されました。
神は細部に宿る。
好き!!!
思わずオートモードを止めて空を見上げてしまった。
ポニテ+素足でうつ伏せ+照れ顔
役満です対戦ありがとうございました!!
あとこの1枚絵も好き。
萌えの王道。ギャップ萌え!!!
急に照れ始めるんですもん。もう心臓も家出しちゃったよ。
とても完成度が高いシナリオでした。メインの寧々を除けば1番好きです。
ミスリードを誘う描写が多くてやられました……
読心系能力は同一能力を持ってる人間には無効なんてのはよくある話ですからね。
「あの父親が子どもを見捨てるなんてことがあるのか?」という謎を作り出してプレイヤーを惹きつけ、オチも綺麗に纏まっている。素敵。
夢から引っ張り出すシーンは思わず手に力が入りました。俺もあんな決め台詞をいつか言ってみたいものだ
②仮屋 和奏(cv.小鳥居夕花)
CVが強い。
このゲーム、始めてすぐに出てくる友人2人のCVがどっちも強いんですよね。
和奏の1枚絵はもちろんコレ。
気付いたら画面の前で拝んでいました🙏
- 共通でパーティーの歌がカットされたこと
- 和奏が直前で風邪を引いてしまったこと
- 柊史の練習パートがやけに短いこと
らへんからなんとなく「パーティーの補完的なストーリーだろうな」という予想はしていましたが、本当に歌うとは。しかもこの歌のメロディーが学内での会話のBGM=和奏との会話のBGMなんて……
粋すぎる。「君。これを作った人を呼んできてくれるかね」って呼んで5時間ほど褒め称えたい。
作中歌の『Without You』とED曲の『大好き』が同じメロディーを使っているにもかかわらず、内容は真逆というのもまた素晴らしい。
本当にこのキャラは愛されているんだなって感じました。
『大好き』に出てくる歌詞に
「なにもできなかったあの頃を ずっと悔やんでたから 歩き出せたってこと 心からホッとしてる」
なんてものがあるんですが、これがとても好きで。
前へと歩き出せた柊史を見て、自分の事のように喜んでいる和奏の姿が目に浮かびます。
③椎葉 紬(cv.黒咲そら)
ママ!!!!!
母性の塊、もはや母性そのものとも言える紬ママ。アカギに削られた心を戻すため、抱きしめてくれる紬ママ。諸君。ワンピースはここにあった。
このシーンで号泣。2周目でも泣いていたので3周してようやくテキストが読めた。紬√が凄いという話は聞いてましたが、あっさりとハードルを超えてきてわたしゃもうビックリだよ。
極め付けはコレ。水分足りなくて干からびるかと思った。多くは語るまい。
アカギが一生地雷を踏み抜き続けるので「なんだこのキャラは?」と思っていたのですが、これまたすごい事情があったものだ。読み終えた後はアカギが大好きになっていました。
人間に近づくにつれて=心を理解するにつれて、自分の願いが叶わないことを悟っていく。けれど、それを認めたくない。紬√は柊史と紬の物語でありつつ、アカギの物語でもあったんですね。
(この√の直後にめぐる√をやったのでアカギの豹変ぶりに笑ってしまった。ライター違うだろうから仕方ないんだけどね)
余談ですが、アカギは柊史の代償の破棄によって人の姿を保てなくなりました。
しかし、"心"は理解できているようです。また、人化の術は"心"の理解よりも簡単であることは七緒の話から読み取ることができます。
なので、案外すぐにアカギは人の姿を取り戻し、お婆ちゃんと再会できるかもしれませんね。
④因幡 めぐる(cv.遥そら)
ちゃろー⭐︎
はいもう可愛い。
語彙力がログアウトしました▼
はぁ〜〜〜〜てぇてぇ〜〜〜〜〜〜
友人についてはかなり重めの話でしたが、最序盤に片付けて残りは終始イチャラブって感じでしたね。爆発しろ
このキャラ、「センパイ」から呼び方を変えないんですよ。ここに強いこだわりを感じる。
後輩と言えば先輩呼び。いやもちろん仲が深まって呼び捨てにされるのもまた一興なわけですが。後輩という属性を持つと呼び方を複数用意できるのは良いですよね。
「先輩!」って嬉しそうな顔しながら走り寄ってくるとか先輩冥利に尽きますよ。へへへへへ。
おっと失敬。
EDは『天使の羽とクリスタル』
ぜんぶいい!!٩( ᐛ )و
サビへの入り方が特に好きです。サビ前にクレッシェンドを使う曲に弱い。
「大好きで大好きなあなたへの想いが溢れてくる」
の部分とか照れちゃう。えへへ。
一生幸せでいてくれ〜って願うけど、願うまでもなく一生幸せそうだよなあの2人。
⑤綾地寧々(cv.桐谷華)
個性の塊。
『サノバウィッチ』というゲームを支えている大黒柱です。
寧々がメインヒロインとはいえ一応複数ヒロインのゲームなので、ここまでキャラが強いと他が霞みかねないのですが、これがまた良く出来ていて。
- 過去の出来事から人付き合いは受動的に
- ≪魔女≫の代償で表立った行動を縛る
これらの要素(個性のマイナス)によってギリギリ"キャラが立っている"で済むわけですね。
キャラの設定に感動するという初の体験をしました。安い言葉ですが、このキャラを書いた人は天才だと思います。
これは外せない。
ここで流れる『2人の魔法』の威力は凄まじかったですね。溜めに溜めた超必殺技を真正面から受けたぐらいの衝撃。
話が逸れますが、みなさんはノベルゲームとノベル(小説)の違いはなんだと考えますか?
人それぞれ答えはありそうですが、私は音だと考えています(厳密な定義とかは置いといて)
特にBGM。平和な日常には穏やかなBGMを重ねることで安らぎを演出。非日常には不穏なBGMを重ねてプレイヤーの心を揺さぶる。ときには無音にして先の展開への不安を煽る。
人間は情報の取得の大部分を視覚と聴覚に頼っています。*2
1枚絵の破壊力は言うまでもないですが、場面描写によってある程度想像することはできます。しかし音はできない。BGMはプレイヤーのためのものですから、物語には登場しません。
クリエイターがここぞというタイミングで仕掛けられる第二の切り札。それが音です。
音はシナリオの面白さを2倍3倍、あるいはそれ以上に引き出してくれる。そんなことをこの『2人の魔法』を聞いて考えさせられました。
「みなさんは……本当に、楽しいですか?」
「みなさんは……本当に、笑えていますか?」
「みなさんは……本当に、幸せですか?」
自分の身勝手な願い事で"なかったこと"にしてしまった数々の出来事を、優しい寧々は当然気に病みます。
更には、「2周目の自分なら前よりも上手くやらないといけない」と考えて八方塞がりに。
自分は楽しく毎日を過ごせている。心から笑えている。間違いなく幸せだ。
ーーけど、他の人は?
自分がやり直したせいで、自分とは逆に不幸になってしまった人はいないだろうか?
そんなことを考えてしまう。事実、両親は自分の介入によって幸せになるタイミングが遅れた。自分が知らないところで、同じようなことが起きていないとは限らない。不安で不安で仕方がない。
ーーそれでも。
「楽しいよ」
「本当に感謝してる」
「こんなに気分が良いのは久しぶりだ」
「あははは」
「もちろん幸せです」
「綾地さんのおかげ。凄く幸せだよ」
幸せになってくれた人も、いる。
始まりは自分のため。
けれど、他人を想う気持ちも、より良い結果に導こうとする気持ちも本物で。
だからーー
「寧々は寧々のまま、ココにいていいんだ」
負い目を感じる必要はない。責任を感じる必要もない。君の行動の結果、幸せになった人はたくさんいる。
楽しくて、笑顔で。それが日常になる。
そんな幸せを作ってくれたのは、他でもない、寧々だから。
「俺たちと出会ってくれてーー」
『ありがとう』
最高でした。
そら人気になるわ。
リスタート画面が出てきたときには思わずガッツポーズをしていました。*3
寧々の感想だけ他のキャラよりもはるかに長くなりましたが、シナリオが素晴らしすぎたのでそこはご愛嬌ということで。
おまけ
このゲーム、シナリオは勿論、設定面でもかなり作り込まれていることが伺えます。
第一に綾地寧々の設定。
上の方でも書きましたが、ここまで完成しているキャラは本当に珍しい。
ヒロインが魅力的であればあるほど、ゲームとしての評価も高くなります。
第二に、物語の構成。
物語が始まるには、それに足る理由がなければいけません。
今回なら前へと踏み出すきっかけが必要です。
それを事故によって心の穴が埋まるという出来事によって、
- 内面:心の穴が埋まることで前向きになる
- 外面:心の欠片を返さないといけない
という両面から作り出します。
これによってスムーズに物語が始まるわけです。
心の欠片、心の穴という設定も素晴らしい。
また、物語としてのゴールも前向きになるという抽象的なものから心の欠片を返しきるという具体的なものに変化。これによって過程の観察ができるようになります。過程を観察できるなら話も作りやすくなる。
完成度が高すぎる!
さらにおまけ
【アルプの眼の色】
七緒とアカギは黄色で、憧子先輩も黄色
=憧子先輩はアルプであるという示唆
「ようがす!」や「合点!」も同様。ようがすとかきょうび聞かねぇな
【《Chapter3-3》で出たトイレの改装の話】
未回収で終わりました。
途中で何か変更があったんですかね……
【因幡めぐるのHN】
おそらく因幡の白兎から。
ウナジは不明(うなじは俺も好きだぞ!違う)
【タイトル名】
Sabbat of The Witch = 魔女の会合
副題まんま。
Son of a Witch = 魔女の息子 = 柊史
son of a bitch(訳は省略)のもじり。
公式のコメントはこれ↓
http://yuzulog.hatenablog.com/entry/%3Fp%3D57
【タロットの意味考察】
憧子先輩=世界=念願の成就
和奏=審判=蘇る愛
紬=太陽=成功・再会
めぐる=星=友人から恋人へ
寧々=月=過去からの脱却
最後に
私はハッピーエンドが好きです。
物語を経たキャラは、全員、キャラ自身が考えるハッピーエンドに到達していなければならないとまで私は考えています。勿論バッドエンドやノーマルエンドが悪いというわけではないですが、苦労した人間は報われてほしい。ある意味夢の中の世界と言える創作の中の世界に、そういった夢を求めるのは別に悪いことではないと思っています。
で。
サノバウィッチという作品には数々のキャラが出てきますが、何人か報われていないキャラがいます。
例えば、
- 1周目の柊史(寧々√)*4
- 木月千穂子(めぐるの友人)
- 他√の憧子先輩
- 他√の寧々
あたりでしょうか。
ただ私がこのサノバウィッチという作品が素晴らしいと評するのはこれも関係していて、このキャラたち、全員救われる可能性があるという描写がされています。
そこらへんも含め、やはり完成した作品だなあと感じました。
考察記事に関しては筆が乗ったときに書こうと思っています。